カテゴリ:創作おはなし( 2 )


ぽぽのたび

むかし、むかし、むらのはずれに 
ちいさな おか がありました。
そらが とてもちかく、
うみと まちと むらが、
みおろせる おかでした。
はるには おか いちめんが きいろと
しろに なりました。
その おかは たんぽぽが さきみだれ、
たんぽぽの はなと わたげが
いちめんを おおっていたのです。
ひとびとは その おかを
ぽぽのおか とよびました。








ある はるのひ、
たくさんのたんぽぽが さきました。
かぜのよくふく おかで、
ときどき そよかぜで、
たんぽぽが ゆれました。
たんぽぽは、
たいようの ひかりで そだち、
まいにち、うみと まちを
みおろしていました。











あるひ、
おかのうえに
ひばりさんが
むしを さがしに
やってきて、
いいました。
「ああ、きょうは なんて
きもちのいい ひ なんだろう。
しおかぜが すばらしい。」
たんぽぽは ゆれて きいていました。
ひばりさんは、あるきながら むしをたべ、
ぴゅんと そらたかく まいあがり、
ピュルピュルと うたっていました。










二わの *ウプパさんが
おかのうえにやってきて、
うたいました。
「おめでとう!
きょう、まちの びょういんで
おんなのこがうまれたよ!」
たんぽぽのなかで
いちばん ちいさいたんぽぽくんは、
そのうたをききながら
いいました。
「しおかぜ?おんなのこ?まち?
なんのこと?」




*ウプパ=やつがしら(とり)







たんぽぽくんのとなりにいた、たんぽぽさんがこたえます。
「しおかぜは うみからくる かぜさ。
うみをみてごらん、おおきいだろう。
さかなという いきものが くらしているらしい。
まちは、ほら、あれが まちだ。
たくさんの ひとが くらしている。
でも、たくさん くるまも はしっているし、
こんらんしているよ。
おんなのこは…あかちゃんのことだけど、
ぼくも みたことないな。
ともかく、うみにも まちにも
ぼくらは くらせない。きけんなんだ。」
「でも、もし とりさんになったら、うみのさかなと
まちのひとを みにいくよ。
もし、はね があったら…。
だけど、ぼくは いつも ここにいなくちゃならない。
うみと まちにいきたいな。」
「まあ、みててごらん。」
ちいさな たんぽぽくんにウインクして いいました。






つきひが すぎて、
ちいさな たんぽぽくんも
おおきくなっていきました。
そのあいだ、ほかのたんぽぽさんたちの
はなびらが とじて、
おひるねを するように
からだを よこにしました。












あるあさ、たんぽぽくんが めをさますと、
たんぽぽさんたちが、しろくなっていました。
たんぽぽくんは、きいろでした。
「なにが おきたの?」
「じゅんびが ととのったのさ!」
みな、くちずさんで いいました。
「なんの じゅんび?」
たんぽぽくんが たずねます。
「とぶ じゅんびだよ!」
「どこへ?」










そのとき、つよいかぜがヒューとふいて、
すべての わたげが とびたちました。
そらいちめんが まっしろになり、
くうちゅうで わたげたちは、バイバイ!
とあいさつしながら、かぜにのっていきました。
わたげさんが、たんぽぽくんに いいました。
「きみも、もうすぐだよ。どこにでもいけるよ。
でもね、きをつけなくちゃいけないのは、
かぜにのること。よくおぼえておいて。
わたしたちは、たねを一つずつ もっているの。
つちの うえに たどりつくことだよ。
そうすれば、また さくことができるよ。」
「もし、つちの うえに たどりつけなかったら?」
「それでも、さくよ。ぼくらは、つよいからね!
また、どこかであおうね、おちびちゃん!よいたびをね!」
「あなたもよいたびをしてね!また、あおうね!」
たんぽぽくんは わたげさんを みあげて さけびました。
「ぼくも、たびを するの?
ええ!ほんとうに!しんじられない!
どこにいこうか?うみか?まちか?
そうだ、まちにいこう!
でも、まちでなにをしよう?
そうだ、あのおんなのこに あいたい!」








なんにちかすぎて、
たんぽぽくんも はなびらをとじ、
おひるねを するように よこになり、
それから すこしして、
わたげになりました。
つよいかぜがふき、
かぜにのって そらに まいあがりました。
まちに いこうとしました。
ところが、かぜにのることができません。
たんぽぽくんの わたげたちは、おかのうえ。
でも、そのうちの 一つのわたげは、あきらめませんでした。









ほとんどの わたげが じぶんたちのばしょをみつけ、
つちのなかに もぐっていきました。
まちにいきたい ゆめをもった、
あの たんぽぽくんの わたげは、
まだ かぜを まっていました。
おかのしたには かぜがやってきません。
それでも、なんにちも なんにちも まちました。
となりには あかちゃん たんぽぽが めを だしていました。
「ああ、もうだめかな?まちには いけないのか…」
あるひ、あめがふりました。
かわいそうな わたげは、びしょり ぬれてしまいました。
もうかぜが ふいても、とぶことは できません。









なにか つめたいものにさわって、
つぎのしゅんかん、わたげは そらに まいあがりました。
「なにがおきたの?どなた?」
「だれ?」わたげを まるい おおきなめが みつめています。
わたげは、このおおきな なにかのうしろに、
ハートがたの もようを たくさんみました。
















「ぼくのはなのうえに だれがいるの?くすぐったい!」
「ぼくは…」
「きみは…まあいいや。ぼくは いのししのこ だよ。」
わたげは、いのししのぼうやの はなのうえにいました。
「こんにちは、しろくん。ここで なにをしてるの?」
「いのししくん、ぼくのじんせいは おわってしまったようだ。
ぼくは びしょぬれで、とぶことはできない。
まちにいくのが ゆめだったのに。」
「まち?ぼくのおかあさん、きけんだから、まちにいってはダメって。」
「しってる。でも、おんなのこに あいに まちにいきたいんだ。」
「まちにいって、おんなのこにあって、そのあと、なにするの?」
わたげは かんがえて いいました。
「おんなのこと くらしたい。」いのししくんは わらっていいました。
「おんなのこと くらせるわけないよ!」いのししくんは わらいころげ、そのいきおいで、
わたげは そらへ まいあがりました。









一ぴきのアリさんが、びしょぬれの わたげをみつけ、
アリのすへ もっていこうとしました。
「アリさん、ぼくのじんせいは おわってしまったようだ。
ぼくは びしょぬれで、とぶことはできない。まちにいくのが ゆめだったのに。」
「まちにいきたかったの?やめておきなさい。まちでくらしている しんせきや ともだちがいるけれど たいへんよ。つちがないから、うまくあるけないって。くるまのあいだを すりぬけてあるくのよ。それでも、いきたい?」
「ぼく…それでも、おんなのこに あいたいんだ。」
そのとき、アリさんとわたげは そらに まいあがりました。
「たすけて!」アリさんは、わたげをはなし、
したへ おちていきました。










「あれれ、きみは こんちゅうではないの?」
ひばりさんは いいました。
「ぼくは…ぼくはだれだかわからないのだけど、
さいしょは きいろで、いまは、しろ。
ぼくは、きみを しってる。
おかのうえで、いつもうたって、
そのあとピュンと そらたかくに とんでいったでしょう?」
「ああ、きみは、たんぽぽ…だった?ピュル ピュル?」
「ぼくは、たんぽぽだったの?いまは…だれなの?」
「わからない。でも、きみには、まちはとおすぎるよ。
ぼくのように そらたかく とべないでしょう?ピュル ピュル」
そういって ぴゅんと そらたかく とびあがりました。












そのとき、わたげは、ひばりさんのくちから
おちてしまいました。
わたげは、ふたたび、つちのうえ。
とても、かなしい きぶんでした。
ひばりさんに、まちにいるおんなのこのもとへ
つれていってもらいたかったのに。
もう、どうすることもできません。
わたげは、なきました。




















「だれが、ないているの?」
わたげが、かおをあげると ウプパさんがいました。
おかのうえで うたっていた、とりさんでした。
「ぼくは もう、あるくことも、とぶこともできない。
でも、まちにいる、はるにうまれたおんなのこに、
あいにいきたいんだ。
てを かしてくれませんか?」
「おんなのこのところへいきたいの?
つれていってあげるよ。」
「ほんとうに?ありがとう。ありがとう。」
ウプパさんは わたげを くちにいれて
あかちゃんのおうちへ とんでいきました。












そして、まどぎわにある うえきばちのなかに、
わたげを おろしました。
「ぼくは、まちにいきたかったのだけど。」
「まちのびょういんから かえって、もうここにいるよ。」
わたげは、まどのそとから おんなのこを みました。
「ありがとう。とりさん。」
「げんきでね。」ウプパさんは、いってしまいました。
わたげは、つかれていましたけれど、うれしそうに
つちのうえに よこになりました。


















つきひが たちました。
あるひ、わたげは、たいようのひかりを かんじました。
おかは、いちめん きいろです。
まどから へやを みると、あのおんなのこがいます。
おんなのこを だっこした、おかあさんがいいました。
「みて、たんぽぽよ。なんて、きれいなの。」
すうかげつご、うえきばちのなかで
わたげは めをだし、たんぽぽくんになっていたのです。
おんなのこは、まだ ちいさかったけれど、
ゆっくり、ゆっくり、おおきくなっていきました。
なつがきて、あきがきて、ふゆがきて、また、はるがきて…
たんぽぽくんは、いつも おんなのこを みていました。
そして、もう、どこかにいきたいとは、
けして おもいませんでした。







おわり。
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by bulichellanippon | 2011-01-25 17:14 | 創作おはなし

ゾウさんと はな

日曜日の朝。とってもいい天気。
ゾウのお母さんは朝から大忙し。犬の散歩に掃除機かけ、2頭の子象の朝食作りとバタバタ・ドシドシ。
それなのにゾウのお父さんはグウグウ居眠り。
「母ちゃん、母ちゃん、お腹すいたぁ。」子象たちは、お腹がペコペコ。

「父ちゃん、起きて!助けてちょうだい!」
グウグウ グウグウ。。。。
「もう、怒ったぞう!私もストライキ!」
お母さんゾウは、長い鼻をぶんぶん振り回し、大きく深呼吸したあと、鼻から息を吐き出して、全てのものを吹き飛ばしてしまいました。

お父さんゾウもふき飛ばされて、やっと目を覚ましました。
「何が起きたんだい?」
「母ちゃん、怒ったぞう。」子象たちは言いました。
「母ちゃんのために何かしなくっちゃ。」
「よし、まかせとけ!」

お父さんゾウは、洗濯物を持って川へ行き、ゴシゴシ洗濯をはじめました。
子象たちも お手伝い。鼻と鼻に洗濯物をからめて、上手に水を絞ります。
木と木の間に洗濯物を干した そのとき。
あれあれ、なんだか いっぱいゴミがついてます。洋服にもタオルにもシーツにも なにやら いっぱい黒いものが。
「これ、なんだろう。」
6つの大きな目でよく見ると、それは小さな小さな種でした。
子象たちがポケットにたくさん詰め込んだ お花の種、そのまま洗ってしまったのでした。
「これは、困ったぞう!」
三頭は、洗濯物を叩いたり、はらったりしましたが、種は しっかりくっついて離れません。
「よし、仕方ない。このまま干して、乾いたら種をとろう。」
お日さまポカポカ。いい天気。お父さんゾウと子象たちは くたびれて お昼ねです。

そよ風が吹きました。
ポン。何かがはじけました。
洗濯物の種がはじけて、芽が出たのです。それから、にょきにょき茎が伸びて葉っぱも生えました。
お父さんゾウと子象たちはスヤスヤ。
つぼみも出ました。
ぱ・ぱ・ぱ・ぱ お花が咲きましたよ。
洗濯物がお花畑。

お母さんゾウが、やってきました。
「まぁ。」その声に三頭は起き上がり、ビックリ仰天!
「なんてキレイなの!」お母さんゾウは 洗濯物の お花にうっとり。
お花の咲いた洋服に着替えて 四頭仲良く お家に帰りました。
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by bulichellanippon | 2011-01-17 07:37 | 創作おはなし
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ブリケッラ農園に腰を下ろして 早6年。有機栽培のぶどう オリーヴ 野菜 果物に囲まれた生活の中で 心がビオになっていく そんな農園で起こるできごとを お伝えしたく 四苦八苦で取り組んでおります。


by bulichellanippon
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