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by bulichellanippon
| 2009-11-21 07:23
| 農園や近郊でのできごと
農園の大きさは東京ドームの約8倍。その丘陵の中にぶどう畑とオリーヴ畑が広がる。毎朝晩の愛犬レオの散歩は欠かしたことがない。天気の日はもちろん雨や風の日も毎日歩く。
朝、誰かに見られている感じがしたら、それはお月さま。白い月が私たちを見つめている。西に目をやれば、畑の向こうに広がる碧い海。その上に浮かぶナポレオンが99日間幽閉されたエルバ島・アレッサンドロ・デュウマの岩窟王が舞台となったモンテクリスト島が姿を現す。赤ん坊が泣く声が空から聞こえてくると思えば海からかもめがやってきたり、鷹が獲物を探して空を舞っている。時々出くわす野うさぎたち。小犬と間違えて遭遇した子ギツネ。雨の日に残すいのししの親子のかわいい足跡。果物畑にロマンチックに飛び回る蛍たち。季節にたわわに実る桃・イチジク・杏を木からもぎ取り、その場で丸かじりする。甘い汁が指をつたい流れ落ちる。有機栽培で育てられた野菜たちは、あまり手を加えずに食卓に上る。星の観察記録など不可能なほどの満点の星。まるでプラネタリュームにいるような錯覚をおこす。大きな星屑が流れ、驚いて願い事をすることを忘れる。
イタリアに来る前に一冊購入していたアグリトゥーリズモの本を握りしめ、初めてこの農園を訪れたとき、父のふる里の風景に似ていてホッとした。すぐに一目惚れ。日本で独学でイタリア語を勉強していた時から、いつかアグリトゥーリズモ(農園民宿)で働きたいと思っていた私。すぐに交渉。その願いは叶った。
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by bulichellanippon
| 2009-11-19 01:16
| 農園や近郊でのできごと
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by bulichellanippon
| 2009-11-16 06:11
| 有機栽培
アスパラガスやきのこ採りの時期に山に入ると待ち合わせ場所として使われ、また、オリヴォーネのほうへ行ったよ。そう言えばどちらの方向か誰もが察しがついた。
このオリヴォーネ、さてどんなオリーヴの木なのか。
半年前よりチーフのステファノから存在を聞かされ早くご対面したかった。
イタリア語でこのオリヴォーネのようにオーネとつくと、大きいことをあらわす。
どんなに大きいのだろう。
スヴェレートの街をすり抜け、山をぐんぐん登って行く。
20分過ぎた頃だろうか、小さな村プラータに到着した。
その村も更にすり抜け、歩道のない、けもの道を走る。
ステファノが幼少時代に遊んだ山である。
しばらくして車から降り歩き始めた。
夜、暗くなったら歩けないだろうと想像する。
砂利道の坂道を少し下った辺りで、目の前が開けた。
ここだよ。
前方にオリーヴ畑が広がる。
どれが1,000歳の木なのか。あまり、他のものと変わらないような気がするけれど。
そんな私をオリヴォーネは、その時すでに右手から覗き込んでいた。
これだよ。
指差すステファノの右方向にオリヴォーネは、ひっそりとたたずんでいた。
目の前にそびえ立つ巨大なオリーヴの木。
これがオリーヴの木?一瞬、目を疑う。
巨大すぎて、すぐにはオリーヴの木だと受け入れられぬほどの姿をしていた。
自然のままに生きるとこうなるのか。
張り巡らせた枝は太く、大人ふたりが両手を伸ばしても枝の先に届かない。
500年剪定もされずにいたオリヴォーネの木の葉は多い茂り、傘のようになって地べたの部分を黒く覆いつくしていた。
木の下にもぐると、たくさんの黒い小さなオリーヴの実が落ちていた。
病気になると皆、このオリヴォーネのオリーヴの実を絞り、いただくらしい。
しばらくオリヴォーネを見つめた。
まるで、山の主に出会ってしまった、そんな不思議な気分であった。
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by bulichellanippon
| 2009-11-15 00:36
| 農園や近郊でのできごと